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あなたの「ライフログ」は誰のものか? デジタルクローンが示した未来

  • 2015年2月17日
  • 澤田 典宏

こんにちは、レイ・フロンティアの澤田です。

僕たちは現在、“サイレントログ”というライフログアプリの開発と運用をしています。

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今回は、2015年の1月3日から2月8日まで、全5回のシリーズで放送されていたNHKスペシャル『NEXT WORLD 私たちの未来(NHK総合)』 が提起した問題から、ライフログの在り方について考えてみました。

デジタルクローンを生み出す記憶は誰のもの?

『NEXT WORLD 私たちの未来』でライフログが取り上げられたのは第4回「人生はどこまで楽しくなるのか」でした。

番組内では、個人の様々なライフログと人工知能を組み合わせて、デジタル空間にその人のコピー、いわゆる「デジタルクローン」を作り上げようとする試みが紹介され、人が亡くなっても故人の人格は生き続ける(ときにはその人格が新たな人生を歩む)という未来が提示されました。

この内容に対して、ネット上には「アイデンティティの崩壊につながる」と言ったような、漠然とした不安を感じた人の声が多く投稿されています。このことは、まさに「ライフログという記憶は誰のものなのか」という問題だと僕は思います。

なんのためのライフログ? 誰のためのライフログ?

ライフログは誰のものなのかを考える上で、まず最初にマーケティング分野におけるO2O(オンライン・トゥー・オフライン)施策、特にジオフェンシングと呼ばれる特定エリアに設けた仮想柵(フェンス)に出入りするユーザーに適切な情報を送る施策は外せません。

この場合、ユーザーはライフログを提供することで、割り引きクーポンや良い情報を得るわけですから、ライフログは自分のものと言えなくはありません。

ですが、どこか企業のためという感じが消え去りません。その違和感のわかりやすい例が「まったくライフログには関係のないアプリなのに、様々な個人情報の提供を求められる」といったところや、「結局、送られてくるのは企業側が売り込みたいものばかりで、個人の興味にあったものではない」といったところでしょうか。

この点について僕は、企業側が従来のウェブ広告のやり方から、本質的には抜け切れていないからじゃないかと感じています。

image : MBWA PR

image : MBWA PR

では、毎日の血圧をライフログとして記録し、医師と共有するのはどうでしょうか。こちらには、あまり違和感を感じません。

高血圧で治療を受けている人であれば、違和感どころか、もの凄く便利なシステムです。

この差は、やはりマーケターよりも医師の方が職業的な倫理感が高いはず…と、僕たちが思い込んでいるからでしょうか。それとも、血圧というライフログが、健康という極めて個人の問題に直結しているからでしょうか。

僕は後者だからではないかと考えます。先の例と併せれば、「広告よりも健康の方が、僕という個人にとっては大切」と言うことです。

image : Jeff Eaton

image : Jeff Eaton

僕のライフログは、僕のためにある

さて、ここまでの流れから言えば、やはり「自分のライフログは、自分のためにある」と結論付けるほうが自然でしょう。

例えば、僕たちはこのSilentLog Blogを通じて、サイレントログの色々な使い方を知っていただこうと、自分たちのライフログを多くの人に公開しているわけですが、本来は、そんなライフブロガー的なことをする必要は、どこにもありませんよね。笑

そういった点からも、自分のライフログが、いかに自分だけのものかがわかります。

記録を残すことで確実に便利になるけれど、あくまでも隠しておくもの。だからこそ、僕の意思なしに、僕のデジタルクローンが作られるようなことは避けたいと思うのです。

image : picjumbo

image : picjumbo

僕のライフログは、未来のために…ある?

ただ、そう考える一方で、僕が見てみたい他人のライフログが、ひとつあります。

それは僕の父親のライフログです。

僕の父親は15年前に亡くなったので、もう話を聞くことはできません。もっとも、今さら会いたいとは思いませんし、なにより父親から受け取るものは受け取ったと思ってもいますので後悔はないのですが、今の僕と同じ歳のときに父親がなにを感じていたのか、なにを考えていたのか、どんな生活をしていたのかは知りたいです。

そして、父親の記憶は、僕がアインシュタインのライフログを見るよりも、ずっと僕の人生を豊かにするでしょう。

image : Shayna Hobbs

image : Shayna Hobbs

僕と家族、僕と友人。

僕のライフログが誰かのためにあるとすれば、それは僕と記憶の一部を共有する人たちのためなのかもしれません。